
今回は少し学習や勉強から離れて、とは言っても関連性はあるなと思いましたので、記録していきます
日本ではやっている映画館や時間帯も減ってきてしまいましたがぎりぎり間に合いました
ネタバレを含みます、というか小説版から見ると動画はおろか映画の広告画像が1枚見えた時点でネタバレなので、存分にプロジェクトヘイルメアリーを楽しみたいという方は小説版を読んでから映画を見て、その後にいろんな評価やレビューを見られるのが良いかなと思います
配信されてからでも、、、という話はあるのですが、小説がむちゃくちゃ面白かったのと、ペトロヴァラインや惑星エイドリアンの描写が美しいと評判で、私がどうしても映画館で見たかったので、子供に付き合ってもらいました
子どもにとってどんな映画?
検索すれば山ほど解説動画が出てくると思いますが、端的に言って
『子供にも親しみやすく、たくさん疑問が沸く、初めて見る大人向けの面白い映画』
と言えると思います
小説版はなかなか地味かつエクセルをカタカタやる感じが、あ~わかるわかる、というイメージを地道に積み上げていきますが、開始数秒で、
『あ、宇宙船乗ってるな~』
『なんか違う太陽系に来ているな~』
って分かってしまうので、サイエンスフィクション(SF)を地味に味わう部分は全カットです
でもそれが子供にとっては分かりやすくて良いですし、それだけカットしても2時間37分もありますので、ドラえもんと比較しても1時間くらいは長いです
子どもになぜ勉強させるのか?
これに対する1つの答えはSFを理解して楽しむため、ということはあげられると思います
別に物理学や化学への深い理解は必須ではないと思いますし、私も勉強が好きでも得意なわけではありませんが、楽しめる、くらいの理解力はあるかなと思います
もっともプロジェクトヘイルメアリーの映画版はSF要素、というよりも最初は言葉も通じない相手と社会的な信頼をどう築き上げるか、利己的から利他的にどのように人間は進化できるか、といった過程を楽しむ社会学的側面のほうが強いかもしれません
それでも小説版で描かれたSF要素が映像としてどのように描写されるかを期待していました
映画版を見ると『こんな絵になるのか!』と非常に興味深く、感動する要素でもあったりしました
小3の子供はまだまだ漫画を何とか読むレベルでDr. Stoneをたまに読んだり、アニメの録画を見るかな、くらいでプロジェクトヘイルメアリーの小説版は当然読んでいませんでした
というかマジックツリーハウスすら読めるか怪しいくらいなので、小説はまだまだという感じです。
なぜプロジェクトヘイルメアリーを見たいのか?
子どもはそもそもアニメではない実写映画自体を映画館で見たことが無いので、わざわざなんで見なきゃいけないの?と当然なります
なので、子供にはなんで私がこの映画を見たいのか、面白そうなのかをプレゼンしないといけません
あと子供向けのアニメは基本的に気にする必要はありませんが、大人向けの映画だと年齢制限、年齢推奨については気にするようにしています
プロジェクトヘイルメアリーは”G”ですので全年齢推奨です
特に小学生にとってはPG12に抵触するような出血表現を怖がることが多いです
以前、家で私がオデッセイ(火星の人)を見ていた際に、序盤に主人公が激しく怪我をするシーンで怖がってしまい、それ以来警戒されています
オデッセイはPG12でしたので、それ以来レーティングはPG12であっても気にするようにしています
で、どうやって見に行っても良いと思ってもらうかですが、他の映画を見た際にチラシを貰ってみせてみる、映画のサイトを画像で見せてみるなどの方法もありますが、やっぱり定番はYoutubeの数分間のトレーラーを見せてみて、面白そうと思ってもらうことです
幸いこれで面白そうって思ってもらえたので、一緒に見に行けることになりました
子供の感想

『面白かった!』
『エイドリアンにタウメーバを取りに行くところはドキドキした』
『ロッキーかわいい!良い!良い!良い!』
とのことで、まずは良かった、、、というか2時間37分も小3が座っていられたことに少し驚きました
見に行った時期が公開から1か月くらい経って、観客もだいぶ減り、一部の同年代やライアン・ゴズリングさんのファンと思われるような方が多く、子供の姿は他に無いようでした
それでもプロジェクトヘイルメアリーの主題はバディ映画なので、その部分にとても共感してロッキーに親しみを沸きつつ、あれって何?なんでそうなったの?という疑問がたくさん出たのも良かったかな、思います
教育的な側面
多くの映画の主人公は元々カッコよくて、性格も勇敢で、頭脳明晰でなんでできるスーパーマンのような人物か、元々能力値が高いのに頑張っていなかったところで本気出しました系か、人生2周目系か、みたいな感じだと思いますが、主人公のライランド・グレースはもうちょっと弱い感じです
頭脳は明晰ですが、学会のお偉方にいらんこと言って村八分になったり、宇宙飛行士が死んでしまっていく人がいない人類大ピンチ!というときに、『ぼくは乗りたくない!』と言って全力で搭乗を拒否したり、まぁまぁ弱い部分を見せてくれます
映画では割愛されていますがロッキーという異星人の仲間と共闘し、最後は自分が地球に帰れるのに、それを捨ててでもロッキーを助けに行く、という道徳的な進化が見られます
無理やり搭乗させられるまでは自己保身しようと抵抗していたのに、ロッキーという仲間のピンチを知って、自分が帰れなくなることを承知で助けに行くところは利他的になった表現の極大点だと言えると思います
あと個人的に映画版で良かったのは、ビートルを受け取った地球側でビデオレターを見たストラッドが微笑んだところは良かったです
小説版のストラッドは血も涙も無い、『人類存亡の危機だから如何なる犠牲も止むを得ん、南極に核を打ち込め』と命令したり、かなりサイコパスとして描かれてたまま終わっていたかと思いますが、映画版でこの描写が追加されていたことで、ちょっと救われた感じはします
別の角度から妻が面白い感想を言っていて、
『無理やり宇宙船に乗せられたんだから、わたしなら絶対タウメーバなんか送ってやんない!!ビデオレターだけ送る!!』
とのことで、あー、確かにそう思っても仕方ないよね、とは思いつつ、2時間37分の文脈を踏み倒す感じが爽快でした
作中のストラッドには宇宙飛行士を見る目があって本当に良かったですw
子どもの疑問その1|アストロファージってなに?
端的に作中で言われているのは、『太陽を食べる生き物』
天の川銀河の太陽周辺の恒星に感染し、大増殖を繰り返し、太陽の光を奪ってしまう厄介者で、他の星も暗くなってきている、というものでした
光エネルギーを吸収し、それを化学結合エネルギーではなく、質量に変換して蓄えられるというトンでも生物で、作中では人類が初めて遭遇した地球外生命体という話でした
グレースが元々博士論文で書いていた、『生命の誕生に水は必須ではない』という主張については、アストロファージも主成分は水で、水素、酸素、窒素からなる地球にいる生命体と組成についてはほぼ変わらないという設定でした
で、アストロファージが太陽を食べているなら倒せばいいじゃない、ということでグレースが誘拐に近い形でラボ送りになり、実験に際しては、焼くなり煮るなり、真空にするなり、高圧にするなり、薬品につけるなり、放射能を浴びせるなり、きっともっといろいろなことをしまくった結果、何をやっても死なない、、、と行き詰っていました
その後さらにいろいろ試行錯誤をした結果、
『注射器で刺したら死んだ』
という結果が得られました
結果、グレースは人類で初めてエイリアンを倒したヒーロー、、、になるかと思いきや、小説版だと『多額の予算と時間を使って得られた結果が注射器で刺すと死ぬ、だなんて許せない』と言って、ストラッドが激昂していたと思います
とはいえ、太陽を食べるような大増殖をしているアストロファージを注射器で1匹ずつ刺し殺していくわけにもいかないよね、という話になります
子どもの疑問その2|なんでロッキーの仲間22人は死んだの?
『エリディアンには放射線遮断技術がなかったため』
映画版はグレースのほうがちょっと賢い、みたいな描かれ方をしていますが、前提としてエリディアン(ロッキー)もアストロファージを使ってタウセチに到達できる科学力を有しており、どちらのほうが優秀ということはないです
作中の描写としてもキセノナイトを使ったエンジニアリング能力や工作能力、計算力はエリディアンが圧倒的で、グレースの作った模型が下手くそだと馬鹿にしてきたりします
また社会的側面を見ても、地球の人間同様にロッキーの星でも紛争はあり、誰しもが勇敢で良いやつということは決してなく、そうじゃないエリディアンもたくさんいる、ということから姿かたちは全く違えど、高度な文明を築いていることがグレースとの共感を得られるポイントになっています
で、なぜロッキーの仲間が死んでしまったのかは、『放射線の遮断技術が無かったため』とのことでした
作中のエリディアンの科学力として、物理学は地球の人間のほうが先を行っている印象で、そもそも放射線が生物の遺伝子を破損することを認識していませんでした
これはエイドという星の大気がアンモニアで23気圧もあることから電磁波でなく、音波を使った空間認識をしていることが理由だと思われます
そのため宇宙空間に出ると恒星からの放射線に晒され、ロッキー以外の乗組員は死んでしまったということのようです
ロッキーだけなぜ生き残れたか、については彼はエンジニアで燃料であるアストロファージに囲まれており、放射線から守られていたためと思われます
子どもの疑問その3|なんでグレースが宇宙船に乗せられたの?
『当初乗るはずだったクルーが事故で消し飛んだため』
そもそもグレースは世界で初めて地球外生命体を殺し、世界で初めて気球外生命体を増やした実績のある人物で、誰よりもプロジェクトヘイルメアリーの実装部分、特にタウセチまで行ってどういった実験をして、何を見つけて、どのような情報を地球に送ればよいか、レクチャーする立場でもあり誰よりも詳しい立場だったと考えられます
そのうえで、各国の思惑もありクルー3名が選ばれるなか、科学者担当がアストロファージの実験中の事故で死亡してしまったため、緊急措置としてクルーになることになります
ただクルーになるからには『地球のために頑張ります!』というポジションかというと全然格好悪くて、家族も恋人もいないけど絶対に行きたくない、他にふさわしい人がいるはずだ、と言って全力で拒否、逃走するものの、カールに捕まり昏睡状態のまま宇宙船に詰められます
で、目覚めたら謎の部屋で目を覚ましたら宇宙船の中で、違う太陽系にいました、というのが経緯です
この『事故』原因がなかなか良い教訓で、
『単位、特に接頭語には注意しないと大変なことになる』
というものです
ストラッドは事故原因について、『アストロファージを1ng渡すべきところ、1mg渡したため』
としています
文字にするとたったの”n”と”m”、”ナノ”と”ミリ”ですが、量としては”n(ナノ)”は10^-9(10のマイナス9乗)、”m(ミリ)”は10^-3(10のマイナス3乗)です
例えば、『100円だと思っていたら1億円でした』とか、『ペットボトル1本分だと思っていたらプール1杯分でした』みたいなものです
結果として研究施設ごと蒸発してしまったというのが事故の顛末でした
接頭語については産総研の一覧が分かりやすいです
子どもの疑問その4|なんでグレースは地球に帰らなかったの?
これは色々あると思いますが1つには『ロッキーが親友だと思えたから』があると思います
アストロファージを倒す対策としてタウメーバの捕獲、窒素対策をした個体の培養に成功し、それをそれぞれの星に届ける、という目的を達成した戦友でもあり、グレースが気を失った際に、ロッキーが命を顧みずキセノナイトから出て助けてくれた恩もあり、今度は自分がロッキーを助けたいと思ったこともあります
グレースの宇宙船のアストロファージはロッキーからもらった量では、地球に向かうか、ロッキーを助けてエルダニに向かうか、どちらかの量しかありませんでした
そのため、グレースは地球にはプロジェクトヘイルメアリーの当初計画通り、アストロファージを倒す方法(=タウメーバ)をビートル4機で送り、宇宙船でロッキーの船に向かうという決断(=地球には帰らない)をしました
一方で映画でも最後の場面でロッキーから、『地球に帰ろうと思えば帰る燃料はあるよ』と言われますが、グレースは返事をしません
これは冷静にざくっと時系列で考えてみると、
1)地球ー>タウセチ『累計地球時間:約12年、累計グレース時間:約5年』
2)タウセチー>エルダニ『累計地球時間:約22年、累計グレース時間:約9年』
でエルダニに仮に3年居たとして、
3)エルダニ滞在『累計地球時間:約25年、累計グレース時間:約12年』
となり、ここから地球に帰ろうとすると
4)エルダニー>地球『累計地球時間:約41年、累計グレース時間:約18年』
となりそうです
このことを考えるとグレース的には、『いやー、地球に帰ったところで知り合いはおじいちゃんおばあちゃんだし、かつての生徒は同い年くらいになってて、変な感じになりそうだよね』ということもありそうです
幸いグレースのエルダニでの生活はエリディアンの生徒にも慕われていそうでしたし、楽しく過ごせているようだったので、地球に帰るよりも幸せだったのかもしれません
大人の感想その1|序盤のショートカット
映画版から見た方からすると、『はいはい、宇宙にいるのね』ということになると思いますが、小説版だと、そこが宇宙だと築くまでに相当時間がかかります
小説版も表紙に宇宙服っぽいのがあるので宇宙ものかな、というのは分かるのですが、それにしても宇宙のどこにいて、何を目的にしているのか分かるまでの過程が面白い、というのもあります
でも映画版はその部分は地味だし長いので5分でショートカットを思い切ってしたところは、子供も楽しめる映画として本当に良かったと思います
細かい設定の緻密さを知りたければ将来小説版を読めば良いですし、初見の楽しみはなくなってしまいますが、それでもなぜグレースがその答えに行きついたのかをトレースするのは面白いと思います
大人の感想その2|映像の美しさ
特にペトロヴァラインの美しさは印象深いものでした
小説版でもペトロヴァラインの意味は記載されていますが、弧を描いて伸びる姿が映像化されたのは大きな価値だと思います
あと惑星エイドリアンも美しいですが、イメージとしては『ナメック星』に近いかもしれませんw
宇宙船の操縦室はCGではなくセットとのことですが、これまたカッコいいです
タッチパネルではなくハードのスイッチがたくさん並んでいる感じもいいですし、グレースをロッキーが助ける際も、それをロッキーが操作する描写も臨場感を高めていました
また宇宙船を動かす際にちょいちょい入るスピンドライブの描写もSF感があっていいです
なんかやたら視覚的な印象にこだわる描写だとエンジンの後ろに噴射する炎を激しく描いてみたり、電気をビリビリ視覚的に見えるようにしたりするのは噓っぽいと感じてしまうので、そうした変な違和感のある余計な描写が無いのも良いです
大人の感想その3|小説版へのつなぎ
子どもはどう感じているか分かりませんが、将来どこかのタイミングで小説版も読んでくれたらいいなと思います
勉強のためとかではなくて、何かに想像を巡らせて思考実験したり、実現したりしようとすることは本来面白いことですし、小説版には映画版にはない地球側の、特にストラッドの苦渋の決断も多数あり、そこがこの小説の深みだと思います
いずれにしても大人も楽しむ映画として最初の作品になったのは良かったかなと思います

あまり調べずに感想を書いていますので、誤りについてはご容赦くださいませ
この映画をみたり、小説を読んでくれる人が増えるとうれしいなと思います

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