親が中学受験の過去問を解いてみた:日能研R4偏差値60から見えた中学受験のリアル

中学受験

「親が中学受験の問題を解けないようでは撤退したほうが良い」という言説を見かけ、「本当のところはどうなのか?」を検証するため、我が子の将来の伴走を見据えて実際に日能研R4偏差値60くらいの中学校の過去問(算数、社会、理科、国語)を試しに解いてみました。

我が家は夫婦ともに中学受験未経験であり、手探りのスタートです。実際に解いてみて見えてきた景色、そしてそこから導き出した我が家の方針を備忘録として残します。


1. 実際に4教科を解いてみた結果と得点率

事前勉強無し、制限時間を設けず、自分のペース、我流で4教科を解いてみた結果は以下の通りです。

  • 算数: 67 / 100点
  • 社会: 51 / 75点
  • 理科: 65 / 75点
  • 国語: 92 / 100点
  • 4科目合計: 275 / 350点(得点率 約78.5%)

※ちなみにこの過去問の合格最低点は250点くらい、平均点は230点くらいでした。

一見すると合格者平均点を上回る数字ですが、内容を精査すると大人でも「つまずくポイント」が多くあることがよく分かりました。

小学生が受ける試験とは言え、ちょっとした資格試験より全然難しいし、大人でも満点は全然無理、というのが正直な印象です。

そもそも筆算とか暗算は普段全くしないですし、歴史とか数十年触れることもなかったので記憶の片隅にも残っていません。


2. 科目別に見えた「大人のつまずき」と「子供への示唆」

■ 算数:計算力と「RST的」な条件読解の重要性

手計算の負荷や、ケアレスミスを防ぐための工夫が必要だと痛感しました。大人が解く場合は電卓を使いたくなるレベルですが、子どもにはしっかりとした処理力を鍛えてもらう必要があります。
また、文章題をぼけっと読んでいると、国語力(修飾語と被修飾語の係り受け)が不足していて条件を読み間違える現象が発生しました。いわゆるリーディングスキル(RST)的な読解の正確性が、算数の正答率を左右すると強く認識しました。今後のテキストや授業での条件整理の仕方を観察し、我が子に合う方法を見つけていきたいと思います。

■ 社会:知識ゼロの限界と本文からの読解

歴史上の人物の名前などの固有名詞を全く覚えていないため、人物名の知識を問う部分はほぼ全滅しました(答えを見ても誰やねんとなってしまいました)。一方で、それ以外の問題は本文中に答えが隠されており、素直に文章を読めば解ける問題が多数で、恐らく国語力のある生徒はあまり勉強せずに受かるだろうなと思いました。
とはいえ、短期記憶で暗記しても意味がないため、小3から小4のうちは「桃太郎電鉄」や歴史マンガなどを活用して興味関心を広げ、ある程度進んだ段階で『メモリーチェック』などの定番教材で定着させていくアプローチを考えています。小3のうちは、あくまで「体験と興味重視」で進めたいところです。

■ 理科:食塩水などの比と国語力の連動

食塩水の濃度と比の問題などで失点しました。ここでも理科的な知識以前に、文章を正確に構造把握して読み解く「国語力」のウェイトが大きいことを実感しました。大人がうっかり間違えるポイントは、子どもならなおさらです。

■ 国語:記述を除くほぼ満点

漢字と、説明文・物語文の選択・抜き出し問題は記述の2問を除いて全問正解でした。問題の構造自体はそこまで奇問ではなく、真っ直ぐな良問だと感じました。


3. 大人の資格試験との決定的な違い(なぜ過去問から取り組めないのか?)

解き終えて痛感したのは、「中学受験の問題は想定以上に難しく、時間制限なしでも嫌になるほど重い」ということです。あと3年半で子どもをこの領域まで引き上げるには、単なる知識の「詰め込み」では間違いなく破綻します。

大人であれば「年収アップ」や「資格手当」といった明確な動機があり、受験資格なし・合格率20%程度の難関資格であれば、「いきなり過去問を解き、解説を見て、分からない部分を参考書で補強する(回転学習)」という力技で合格できてしまいます。資格試験の問題は要素分解されており、市販のテキストや解説が極めて親切だからです。

しかし、中学受験の過去問は全く別物でした。

  • 過去問は「要素分解された基礎問題」ではなく「複数の単元が絡み合った複合問題」
  • 市販の過去問の解説は図や説明が控えめで、未修者向けの丁寧さはない

したがって、中学受験において「過去問から入る」のは完全に不適切だと分かりました。
まずは塾のテキスト等で要素分解された各分野の基礎を徹底的に固め、複合問題を見たときに「この問題は、どの単元の要素が組み合わさっているのか」を分解して見抜くトレーニングが必要不可欠です。


4. 中学受験思考力は「社会人がビジネスを回すためのOS」である

もう一つ、解きながら感じた大きな気づきがあります。
それは、「世の中の多くの仕事は、中学受験レベルの読解力と論理的思考力があれば難なく回せる」ということです。

ビジネスにおいては、複雑に入り組んだ文脈から正確に条件を読み取り、論理的に整理する力が求められます。中学受験で問われているのは、まさにその「人間としての根本的な思考力」そのものです。そこに数学的スキルや現場の経験値が組み合わさることで、仕事の成果に繋がっていくのだと納得しました。

就職活動でのSPIやWebテストで中学受験に似た構造の問題が出題される理由も、いま思えば非常に合点がいきます。中学受験の勉強は、単なる「学校選びのための試練」ではなく、生涯使えるビジネスOSの構築なのだと再定義できました。


5. 未経験の親が、これからどう伴走していくか

今回の過去問体験を通じて、「親がすべてを教えて導くのは無理だが、仕組みと環境を作って伴走することは十分に可能だ」という手応えを得ました。

  1. 計算力の土台作りは「山本塾の計算ドリル」で徹底する
    整数の四則演算をマスターしてこそ、小数や分数の計算スピードが上がると考えています。一行問題には着実に少しずつ取り組む一方で、山本塾の計算プリントは毎日継続し、小4の終わりまでに必要な速度と筆算の正確性を確保します。
  2. 「教える親」ではなく「仕組みと管理のプロデューサー」に徹する
    個別指導や家庭教師をフル活用する経済的余裕はないため、「基本は自走+親は分からない部分の交通整理やスケジュール管理」という体制を目指します。子どもが「どこまで自力で考えて、どこで止まったか」を言語化できる習慣を小3のうちから育てていきたいです。

まとめ

「親が解けないと撤退すべき」というプレッシャーに怯える必要はありません。
我が家のような中学受験未経験の家庭でも、問題の難易度や我が子のつまずきの正体をあらかじめ把握し、適切なステップ(計算の反復や読解の土台作り)を踏んでいけば、十分に戦えるという確信(?)を持てました。

まずは過去問を親が解いてみる、というのはよく言われるアドバイスですが、実際にやってみて得るものは多かったと感じます。お休みの日を半日使って、もしくは平日に少し残業が少なかった日に1科目ずつ試しに解いてみるのはおすすめです。

すでに優秀なお子様を育ててこられたベテランの親御さんには響かないかもしれませんが、同じように「これから手探りで中学受験に挑む、未経験の親御さん」の参考になれば幸いです。

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